卒業に寄せて

 

2021年度の卒業生を代表し、5名の生徒が卒業にあたっての思いを言葉にしてくれました。

 

いよいよ卒業!(小学部卒業生 ジェンキンス アイカ)

 幼稚部から通ったワシントン日本語学校。私にとって卒業までの7年間、土曜日はいつもと違う生活を送るような気持ちになる日だった。
 学校に行くのは現地校と一緒だけど、週末に、しかも日本語で授業を受ける。補習校に居る先生も生徒も、日本になにかしら関わりがあって不思議なつながりを感じた。コロナ禍の前は色々な行事や課外活動があり、思い出がたくさんできただけでなく、仲間意識も強くなったと思う。
 卒業にあたって今思うのは、「いつもと違う」経験をすると、異なる目線で物事を見ることができ、視野が広がるということ。また、何事も続けるのは大変だけど、続いたからこそ自信がついた。そんな2つの大事なことを体験し、学ぶ機会を与えてくださった先生方と両親に、そして頑張った自分にも感謝している。ありがとうワシントン日本語学校!

 

7日に1度の楽しみな学校(小学部卒業生 田島こはる)

 私は小学5年生の2月に日本語学校に転入しました。アメリカへ引っ越してきて初めて通う現地校は、オンライン授業が続いていて、英語もさっぱりわからなくて友達もできずにさみしかったです。
 そんな中、日本語学校では日本語で思いっきり話すことができて、先生から教えてもらう授業がわかりやすくて、友達と勉強することがこんなにも楽しいことだなんてこれまで思いもしませんでした。アメリカで生まれ育ったクラスメイトから聞く話は、髪の毛のカラーチェンジの相談や動物保護施設でのボランティア活動のことなど、日本の小学生とは違っていて面白いです。週に1回しかないけれど、学校に通うのが楽しみでした。
 これからも日本語学校で出会った友達とずっと仲良くしていきたいと思っています。そして、中学生になっても一緒に勉強するのを楽しみにしています。

 

両立の意味を学んだ中学生活(中学部卒業生 小寺優蘭)

 小学部では毎週土曜日の日本語学校が一番大事と教わり、他の予定は入れず日本語学校の勉強に集中するのが普通だと思っていた。ところが中学部に上がると事情が変わった。現地校で高校に進学し、大学進学には部活も同じくらい重要と母から通告を受けたのだ。日本語学校の授業を欠席することも何度かあり、家での予習復習が大切になった。もちろん現地校の宿題や部活の練習も同時進行だ。慣れないうちは家での勉強が不十分なままテストに挑み、悔しい点数を取ったこともあった。
 しかしそこで学んだのは、スケジュール管理とバランスの取り方だった。両立とはどちらも完璧にこなすためにストレスを溜めることではなく、心身の健康と両校の勉強のためのバランスを取ることだ。高等部ではさらに多くの挑戦が待ち受けていると思うが、中学生活で学んだ「両立」術を活かして、楽しい思い出にしたい。

 

合唱クラブの思い出(中学部卒業生 ベイカー輝羅)

 私はこれまで9年間、毎週日本語学校に通ってきました。小さい頃は現地校の友達の誕生日会に行けず、悲しく思うこともありました。でも、いつも日本語学校を優先してきたおかげで、日本語学校での楽しい思い出がたくさんでき、自信を持って読み書きも含めた日本語力が向上した、と言えることを誇らしく思います。
 日本語学校での楽しい思い出の一つは、合唱クラブでの活動です。2018年10月に発足した合唱クラブで毎週放課後に練習を積み重ね、新春祭りや運動会、さくら祭りなどで校歌を歌ったり、様々なパフォーマンスに参加したりする機会がありました。コロナ禍が始まってから活動は停止していますが、私が高校を卒業する前に再開することを願っています。
 私が日本語学校で過ごせる期間はあと2年間と短いですが、これからも日本語力に磨きをかけつつ、友達と楽しい思い出をもっとたくさん作っていきたいと思います。

 

答えは、手の中に(高等部卒業生 田中さくら)

 フィラデルフィアとワシントン、2つの補習校に通った私。12年間の補習校生活がこの3月終わります。「補習校に通うことは、私にとって何のためになるのか。」と思ったことがあります。これまで、その問いに対する答えにたどり着くことはありませんでした。
 しかし今、答えは私の手の中にあります。これからの私を導き、支えてくれる多くのことを、この12年間から得たのです。補習校を通じ、私は日本語での読み書きを身につけました。楽しい思い出を作り、様々な経験を積みました。人との出会いに恵まれました。日系である自分のルーツを誇りに思うようになりました。素晴らしい人々に触発され、視野が広がりました。これらを手に、日米に限らず、よりよい世界を作るよう力を尽くしていきます。補習校に感謝します。ありがとうございました。

 

出典:みらい通信2022年3月号

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